アグラオネマ導入時の育成環境

先日は多数のご注文ありがとうございました。
中にはアグラオネマを初めて育成するという方や、当方の温室での環境をご質問される方もおられましたので、当温室での管理方法をご紹介します。

基本的に丈夫な種類ですので、一度環境に適応してしまえばよほどの事がない限り枯死することは無いと思いますが、特にワイルド株のトリートメントなしでの導入では気を付けるべきポイントはあります。
ここでは育成環境というより、「導入環境について」を中心に書いていきたいと思います。
導入に成功すればその後の育成は楽ですし、そこで失敗すれば原因が分からないが調子が悪い、という事になりかねません。
当温室では導入時のトリートメントと管理・発送の利便性を重視しているので、導入後は各自工夫していろいろ試されると良いと思います。
ここでご紹介するのは、一つの方法・考え方であり、それ以外の方法ももちろん否定するものではありませんので、あくまで参考程度と思ってください。


ケースについて
どんなものでも構いませんが、密閉できるものが良いです。
背が高くなった時の事を考えると最低35cm以上の高さが欲しいです。実際35cmだとわりとすぐに頭が突っかえます。^^;
うちの温室ではもっぱら衣装ケースか背の高い発泡箱を使っています。ガラスより保温効果も高く良いようですが、観賞を考えると一般的ではないですね。


照明について
正直、蛍光灯しか使った事がありません。光量的には20w1~2灯でも十分育成できます。
光源によって葉模様の良し悪しが変わるか?というご質問を受けた事がありますが、それは個体の資質によるところが大きいと思います。
もちろんメタハラでもLEDでも良いですが、一つ気をつけなくてはならないのは、導入時(特にワイルドやカット株)に多光量は必要ありません、というか逆効果の場合もあります。いつでも明るければ良いというわけではありません。
これは後ほど出てくる、草体が受けたダメージの話と関わります。


温度について
20℃~30℃くらいが成長が良いでしょう。20℃を下回っても全く問題はありませんが、導入時はやはり20℃以上が理想です。
冬場に徐々に気温が下がり10℃を下回っても枯れはしませんが成長はかなり鈍ります。


用土について
ワイルド株の導入時はミズゴケが一番良いです、とあえて言い切ってしまいます。
発送前に管理する方法として楽だと言うこちらの都合もありますが・・・
それを差し引いても、増殖時のカット株など育成にもミズゴケは大変に良い性質を持っています。
これはケース内や根回りを高湿度に維持する点で優れるからです。
「ミズゴケじゃなくったって全然うまくいくよ」という方は、きっとご自分なりの栽培方法を確立されている方でしょうからご自分なりの方法で育成すれば良いですが、何を使ったら良いか分からないという方は迷わずミズゴケをお勧めします。
実際、ソイルや観葉植物用の用土より草体の立ち上がりが早いような気がします。導入初期を過ぎて落ち着いたら、用土をいろいろ試してみるのも良いと思います。
もちろんソイルなどを使用しても良いですが、初期の導入時に肥料を使用するのはお勧めできません。
今ちょっと気になっている用土があるのですが、それはまたいつか機会があったらご紹介します。


湿度について
これは注意するべき一番大切な項目です。
導入時の空中湿度は高めに。
これはアグラオネマに限らずほとんどの熱帯雨林の野生植物導入時に言える事かと思います。
導入時にいきなりの低湿度は調子を悪くする原因です。これを甘く見ている方が意外におられるのですが、ここは重要なポイントです。特に冬場は湿度が下がり気味になります。気を付けましょう。

用土の項目でミズゴケをお勧めしましたが、これは湿度の面で有利だからです。
ミズゴケは保水能力も高いですが、蒸散作用も高くケース内の湿度を高く保ちます。この効果を最大限に発揮させるにはミズゴケは水分ベチャベチャの状態ではなく、適度に水分を絞ることが必要です。
当温室での管理ではケース底全面にこのミズゴケを10~15cmの厚さで敷きつめ、そこにアグラオネマを直植えしています。

導入時は衣装ケースなどで管理。見るからに湿度が高いですね。
画像


ただし、高湿度での長期管理では葉が巨大化する傾向がありますね。
初期段階を過ぎ成長を確認すれば、湿度を徐々に下げて常湿化させる事も可能ですが、春先から徐々に湿度を下げて夏に外へ出すのが無難で良いかと思います。
間違っても冬場にいきなり外に出そうなどと思わないでください。^^;



さてここからが本題です。
アグラオネマ野生個体やカット株の導入時に一番大事な事とは何でしょうか。
それはストレスを受けた状態から一早く成長段階に移行させる事です。
これは以前にブセの導入時の注意(ブセファランドラの殖やし方(導入について))にも書きましたが、採集などでダメージを受けた個体のストレスを最大限に排除することから始まります。

野生から採取した株は根や草体にダメージを受けています。カットした株は根すらありません。
ですのでダメージを受けた草体は水を吸い上げる力が弱まっています。
導入時に多光量は必要ないというのは、草体が十分に水分を吸い上げられない状態で強い光を当てれば、言ってみれば草体は熱中症のような状態になります。
また水分(栄養分)を吸い上げないならば肥料も必要ないのです。これらはダメージを負った草体に対してさらにストレスをかける事になりかねません。

湿度を高くする事が導入時の重要なポイントと述べましたが、これは草体が水分を吸い上げる力が弱まっている時に、草体に負担をかけず周りの環境によってそれを補うという意味合いがあります。
そしてもう一つ湿度を高くする重要な意味は、発根を促すという事です。
用土でミズゴケが良いと書いたのは、適度に水分を絞ったミズゴケは空中湿度だけでなく、根の周りを湿度の高い空気で優しく包み発根を促進させます。
高い空中湿度で育成すると、場合によっては茎からさえも発根します、という事は・・・
茎の根元を切って増殖する際に、カットした上側もすでに発根した状態でカットできるのです。
ただの棒より「根っこが生えた棒」の方が、ほとんど成長も止めずリスクも低いのは言うまでもありません。

よく園芸サイトなどでのアグラオネマの増殖の方法として書かれていたりするのが、茎の途中にミズゴケの玉をラップやビニールに包んで固定する、というのがあります。
それは局部的に湿度を高くし茎の途中から根を生えさせるためであり、根を生えさせるのはカット後の育成をスムーズにするためで、僕が書いている事は根本的にはそれと同じ事なのです。

新たな根を早く発根させることこそが、初期の不安定な状態から成長段階へ移行させるための最大のポイントなのです。

あ、ちなみにカットした下側(根側)は根付いているのであれば、特に鉢が小さすぎたりしない限りそのまま動かさないほうが良いですね。

アグラオネマはご存じのとおり同じ種類でも個性がそれぞれの個体にあり、それが魅力の一つになっています。
自分好みの葉柄を探すこと自体も楽しいですよね。
そんな楽しみを与えてくれるボルネオやスマトラの自然に感謝しましょう!


しかしそんな自然の恵みをもたらす熱帯森は現在も急速に失われています・・・
スマトラの貴重な熱帯林の破壊に依存し紙パルプ生産を行っている、大手製紙メーカー、アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)社。
APPジャパン社の製品

APP関連問題の活動一覧(WWF)
http://www.wwf.or.jp/activities/nature/cat1246/app/cat_activities.html


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