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<<   作成日時 : 2017/03/11 12:51   >>

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周辺を切り開くとなぜ川に影響が出るのか?
河川周辺を切り開くとどのような事が起きるのか、少し解説していきたいと思います。

この場所は細流を含む土地所有者が米を植えるために細流の右サイドを切り開きました。
一般に日本人が米を植えるというと田植え、水田を思い浮かべますが、カリマンタンでは森を開きそこに米の苗を植えます。
もちろんインドネシアにも一般的な水田を使用した栽培方法もありますが、それとは米の種類が違います。
今回のケースでは、細流との緩衝帯も全くなく細流直近まで切り開いてしまったため、河川への影響は免れません。
細流両サイドの土地を同一人物が所有していたため、この小さな細流に特別な配慮をする必要がなかったんですよね。
ちなみに細流左サイドの土地はゴムを採取するためのプランテーションになっています。
ただ村の伝統的なゴムの木栽培ではゴム単一種を植えるのではなく、元々あった自然林(または二次林)の中にゴムの木を植えるという手法を取っているため、自然の状態が保持され河川への影響は大きくないと言えます。


周辺を切り開くと細流にどのように影響を与えるか?大きく考えられるのは3つ。
1.光量、照射時間の増大。
2.水量の低下
3.河川への土砂流入


これってパッと見ただけで水草やってる人なら、うん、これなんかヤバそうって直感的に分かりますよね。
そう、その直感は当たってるんです。

まず1ですが、物理的に直射を遮る草木が刈られてしまった影響は、日光の照射量、照射時間の増大に繋がります。当然水温アップの方向です。
またベタはあまり明る過ぎる環境は好みではありません。
そしてこれは良い悪いの問題ではありませんが、植物の葉の色は光量によって変化します。
先日、同日に撮影したものですが、1枚目画像は日陰の部分に自生するストリオラータで以前と変わらない葉色をしています。
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そして下の画像は周辺が切り開かれ、直射日光が増えた場所に生えていたストリオラータの葉色です。
画像

2枚目の方がきれいじゃん!
そう思った方は人口栽培下で照射の量、時間、波長をコントロールすればこのように変化させられるという事です。


次に2ですが、この場所は細流の源頭にあり河川の下流部と違い水位の変動(特に増水)を受けにくいエリアです。
なにせ土地の一番高いところにあるわけですから、増水側には振られにくいのです。
下流域がどんなに洪水になっていても、ここが洪水になることはありません。
しかし逆に乾季でもこの場所は水が枯れることはありませんでした。小規模でも周辺の林、植物が水を保持して少しづつ水を流していっているのです。
しかし周辺が切り開かれると保水力は減少し、水分を保持できずに一気に河川に流れやすくなります。
雨が降れば水は一気に流れ、降らなければ水量が低下してしまうという不安定さを作り出します。
これが大規模な森林伐採となれば河川氾濫の洪水となりますが、現在カリマンタン、サラワクなど今までになかったような洪水が頻発しています。

細流の場合、水量の低下で問題になるのもまた水温アップです。
日光照射増大とこの水量低下のダブルパンチによって、水温アップはより顕著なります。
海のサンゴなどは平均水温2度上昇で壊滅的になると言われますが、淡水生物にとっても水温は生息場所を決定する、または消滅してしまう大きな要因の一つです。
うちのベタは水温5度くらい変化しても死なねえよ!そう思う方もいらっしゃると思います。
しかし自然界は人口的な環境と比べてもっとシビアです。
何故ならベタは自然界では主にエビ、水生昆虫などを主食としていますが、エビ類は総じて水温の上昇に弱いからです。
乾季時の水量低下+直射増加、このダブルパンチが続けばエビ類はどうなるでしょうか。
過度な水温上昇によってエビや水生昆虫が減少に転じれば、それを主食とするベタも先細りにならざるを得ない状況に追い込まれます。
自然界では常に他の生物との関わりの上で生存が成り立っています。


最後に3の土砂流入ですが、これも問題です。
これは2の水量低下とも関係ありますが、切り開かれた土地は土砂の保持力が弱まり、強い雨などで河川に流入します。
河川脇の崖が崩れるような直接的なダメージが起こることもあります。
特にこのような水量の低下した細流では、弱い水圧で土砂を流すことが出来ずに泥状となって流れの緩い場所に溜まってしまうことがあります。

土砂降りの雨が降ったというのに泥に埋もれています。
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泥土蓄積による水流の停滞、それによっておこるヘドロ化、酸素供給不足
これがあらゆる水生生物に悪影響をもたらします。
また土砂が水底に溜ってしまうことによる、物理的な表面積の低下も悪影響をもたらします。
これはどういうことかというと、例えば陸上の場合、空間的に生物の多様性と個体数を決定するのは樹上や林床などの高低差と表面積の広さです。
森林というのは複雑な地形によって、また様々な植物が葉を広げることによって莫大な表面積を持っています。
もしボルネオの河川に「岩」という表面積がまったく無かったら、ブセファランドラはこれほどまでに繁栄することは出来ませんでした。

もう少しミクロな視点で言えば言えば、ベアタンクで闘争性の強いベタを飼うと60cm水槽でたった2匹でさえケンカして殺してしまう場合があります。
そこへ流木や落ち葉を大量投入!水中の表面積は一気に大きくなり、ベタはそれぞれが隠れる場所を確保でき、10匹のベタでも飼えるようになります。
自然界では水の流れが緩やかになって落ち葉が多量に溜まる場所は、エビや水生昆虫などベタのエサになる水生生物の発生源となる場所です。
ですのでそのような場所は、ベタにとって隠れ場所とエサをとるのに最適で、生息地の中でも最も生息密度が高い場所になっています。
その多量の落ち葉が泥土で埋まり表面積が小さくなることは、それらの生物の生存に関して大きなリスクになります。
限られた生息域の中に高い生息密度。これは表面積の大きさによって決まります。
環境保全で護岸コンクリートが問題になるのもそのような理由です。
ストリオラータに関しても、本来は流水性の渓流クリプトですから泥土の滞積は長期的に良いとは思えません。

長々と書きましたが、河川周辺を切り開くとこのような問題が出てきて生物に影響を与えます。
これらが複合的に悪い方向へ働いた場合、その場所からの消滅は時間の問題です。
下の画像はスマトラ島コルダータの自生地ですが、複合的に悪い方向へ影響した例です。
強い直射、水量低下、水温上昇、泥の滞積で富栄養化状態、アオミドロも発生しています。
こういう川って入るとなんか川底が気持ちが悪いんですよ。本来の状態の川じゃないなってすぐに分かります。
(スマトラのコルダータの自生地は大変貴重でしたが、現在この場所のコルダータは既に消滅しました。)
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